マティアスの電動車椅子

体に障害のある仲間のすすめで、40代になって初めて電動車椅子を使い始め たユーザーがいる。最初のころは「いままで手動の車椅子で困らなかったから、電動はあまり乗らないと思う」と言っていた。ところが、電動車椅子のパワーと それによる生活や意識の変化は大きく、すぐに電動車椅子なしでの生活は考えられなくなった。あるとき、そのひとがこんな話をしてくれた。

「このまえ、たまたま早稲田大学の前を通ったんです。そのとき、この電動車椅子が20年前にあれば、自分も大学に行けたかもしれないなあと思って、悲しくなっちゃいました」

マ ティアスさん(『車いすのマティアス』主人公)が使っている電動車椅子は、イギリスのダン・エべラードさんが作っていたTurbo。SMAの障害のある娘 のルースさん(当時生後22ヶ月)のために、エンジニアのエベラードさんが自作したYellow Perilが原型になっている。当時はイギリスにも子ども用の電動車椅子はなく、Yellow Perilは座面が床まで降りる機構やスタンディングの機構も備えていたので、関係者から画期的だと高い評価を受けた。これが契機になって、エべラードさ んは電動車椅子の製造を事業化した。Turboは1984年に製品化され、その革新的な構造と機能は、子ども用だけでなく大人用の電動車椅子にも大きな影 響を与え、現在のスウェーデンなどの多機能電動車椅子の魁ともなった。

Turboは改良とモデルチェンジののち、Dragonと SnapDragonというモデルとして販売されている。一方、娘のルースさんは18歳で自立生活を始め、24時間の介護を得ながらオックスフォード大学 で法学を修め、法律事務所のスタッフを経て、現在は父親の経営するDoragon Mobilityで働いている。「中国の辰年の今年は、Dragon Mobility にもいいことがあるだろう」といったルースさんのメッセージをFacebookで読んだ。

昇降やティルト機構などのある 多機能な電動車椅子は、比較的障害の重いユーザーが使うことが多い。そのため、個々のユーザーに合わせて座位保持機能のあるクッションを作ったり、操作性 向上のためにコントローラの改造やプログラムの変更をする必要がある。また、生産量も少ないので、結果として高価格になる。イギリスでもこうした電動車椅 子の入手は、簡単ではないようで、JustGiving というサイトの中でDragonの購入基金を募るページがある。

 

以下の動画にDragon Mobilityの仕事がいろいろと紹介されている。

http://www.youtube.com/watch?v=7EuDZaDHTNs&feature=related

http://www.youtube.com/watch?v=qckGvWRIBjg&feature=related

http://www.youtube.com/watch?v=xDvZCvaIeP4&feature=player_embedded – !

http://www.youtube.com/watch?v=ceHJypPPRhg&feature=related

 

ところで、6歳ですでにTurboに乗っていたマティアスさんは、22年後の今、どんな生活をしているのかしら?

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    車椅子や座位保持装置にまつわる情報、仕事のなかで気づいたことなどを、こっぱ舎にかかわる人たちが折々に紹介していきます。こっぱ(木っ端)=鉋(かんな)の削りくず。転じて、取るに足らないもののこと。そんなkoppaも壮大な宇宙=kosmosの中にあり、こっぱの中にも小さな宇宙がある。そんな思いでkoppasmosと名づけました。

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