車椅子の出てくる映画1

車椅子の出て来る映画は何? と言われて、真っ先に思い浮かんだのがスタンリー・キューブリック監督の『博士の異常な愛情』(1964)だった。映画の中に出て来るピーター・セラーズ扮するアメリカの科学者は車椅子に乗っている。大統領を呼ぶ時に思わず右手を挙げて「ハイル!」と言いそうになるのを必死に堪えるしぐさから、おそらくナチスで核開発に関わったことのある科学者ではないかと思わせる人物で、車椅子に乗っている設定は水爆の開発者であるジョン・フォン・ノイマンがモデルではないかとも言われている。

次に思い浮かんだのが、ジョン・ヒューストン監督の『キー・ラーゴ』(1948)。フロリダにあるキーラーゴ島のホテルが舞台の映画で、そのホテルの経営者を車椅子に乗ったライオネル・バリモアが演じている。バリモアと言うとアメリカでは有名な芸能一家で、妹のエセル・バリモアも弟のジョン・バリモアも俳優。そのジョン・バリモアの息子がやはり俳優のジョン・ドリュー・バリモアで、その娘が『E.T.』の子役で注目されたドリュー・バリモア。『キー・ラーゴ』でのライオネル・バリモアが車椅子に乗っている設定は、簡単に身動きすることの出来ない閉ざされた環境に追い込むためのストーリー上の設定にも見えるけど、すでに実生活でも関節炎を患っていて車椅子生活を余儀なくされていたようだ。

3つ目はヘンリー・ハサウェイ監督の『死の接吻』(1947)。リチャード・ウィドマーク扮する凶悪な殺人鬼は、非情にも車椅子に乗ったお婆さんを薄笑いを浮かべながら階段から突き落とす。リチャード・ウィドマークの残酷さを際立たせるためのとても重要なシーンで、映画史上でも名シーンと言われている。

と、数え上げたら切りがないほど、とにかく車椅子の出てくる映画はたくさんある。有名な監督で言えばヒッチコックの『裏窓』(1954)やビリー・ワイルダーの『恋人よ帰れ!我が胸に 』(1966)もあるし、最近ではジェームズ・キャメロンの『アバター』(2009)がある。でも、じゃあ、映画の中で車椅子が活躍しているのかと言えば、そうでもない。おそらく映画の中の小道具としての車椅子は、『博士の異常な愛情』のようにキャラクターの性格にアクセントを付けるためだけに使われている場合と『キー・ラーゴ』のようにキャラクターの行動に制限を加えるためだけに使われる場合がほとんどで、ストーリーの鍵となるような使われ方をしている映画をあまり見た事がない。

映画史上、一番車椅子が活躍した映画は何になるんだろう?

パッと思いつきはするんだれど、どれもこれもろくでもない(作品としてではなくて、車椅子の使い方について)映画ばかり。うーん、そういった映画をどうやってここに書けばいいのか。

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